なぎら健壱『高田渡に会いに行く』(駒草出版)

 

高田渡に会いに行く

高田渡に会いに行く

 

 ・なぎら健壱高田渡に会いに行く』(駒草出版)読了!

    いやあ、一気読みとまではいかないがそれに近い。

 本文二段組で331ページだから結構な読みでがある。

・もう高田渡が亡くなって15年経つのか。この本はなぎらが

 高田渡に近いひとたちにインタビューした聞き書き。けっこう

 「そうなんだ」ということ、「そんなことまで」が書かれていて

 それでぐいぐいと読んでしまった。

         *

・「ここによく高田渡が来るんだ」と友人Fに吉祥寺のバーに連れて

 いってもらったときに言われた。20年くらい前のはなしだが。

高田渡なんて過去の人で「自衛隊に入ろう」と「自転車にのって」

 ぐらいしか知らなかった。その後、西岡恭蔵の追悼コンサートを見に行った。

 日比谷野音であっていろいろなミュージシャンが出ていて、その中に

 高田渡もいた。高田渡が登壇したら、客席の空気が変わった。

 なんか大御所が出てきた感じ(ちょっと違うかも)。きゅうにみんな笑顔になった。

 待ってましたって感じ。そのころからCDを買って「鎮静剤」「値上げ」なんかを

 聴きはじめて高田渡にはまっていった。

         *

・BS番組で「なつかしのフォークソング」なんて歌番組があって、フォークの

 ヒットソングが歌われる。なんかつまんないんだよね。ひびかない。

・いまだによく聴くCDは、はっぴいえんど増尾好秋。それに高田渡

 わたしのなかでは高田渡だけが「なつかしのフォークソング」。

          *

・その吉祥寺のバーはかかっている音楽がよくて、料理が美味しいから

 そのあともなんどか行ったけど高田渡には会ったことがなかった。

・この本を読んで思ったけれど会わなくてよかったのかもしれない。

 会って話しかけていたらどやされていただろう。

記憶の断片1-細長い店・細長い店主・細長いそば

bunshun.jpキッチン南海の並びに間口が狭く奥に長いカウンターのある立ち食いそば屋

 があった。ひょろっと背の高い店主が細長いそばを茹でていた。坪内さんが通った

 のはあの店だったのだろうか。うん、「スタンドそば」って名前は覚えて

 いるなあ。

 

蕎麦通・天麩羅通 (廣済堂文庫)

蕎麦通・天麩羅通 (廣済堂文庫)

  • 発売日: 2011/11/22
  • メディア: 文庫
 

 「蕎麦通・天麩羅通」坪内祐三廣済堂文庫)

・この本に書いてあるのか。探して読みたい。

相性のいい古本屋

・新年あけましておめでとうございます。

   もう、どういう1年になるのでしょうね。

          *

大泉学園のポラン書房が2月7日で店舗を閉めるとのツイート。

 ショックです。わたしには相性のいい古本屋があって

 ポラン書房はそのうちのひとつ。

・相性のいい古本屋とは、探していた本が見つかるということ。

 ポラン書房は住んでいたところからちょっと遠いのでそんなに通って

 いたというわけではないが、また行きたくなるお店であった。

・ここからはポラン書房訪問記録です。

          *

●「ニューヨークJAZZガイド」岩浪洋三(旺文社文庫

●「昭和夢草紙」滝田ゆう新潮文庫

・2008年3月9日。初めてポラン書房に行った日のようだ。たぶん、

 あの重い木のドアを深呼吸して開けたのだと思う。文庫棚はいつも

 買いたい本が見つかる。テーマで分類されているので見つけやすいの

 かもしれない。

          *

●「大根役者 初代文句いうの助」伊藤雄之助(朝日書房)S43年 ¥300

・2008年8月15日。こんな本があるとは知らなかった。題名といい、

 表紙のインパクトといい買うしかないという感じ。ただ、内容的には

 いまひとつで途中で投げ出している。

・この時だったか、「ボン書店の幻」内堀弘白地社)を見つけた。

 探していた本なので、やったと思ったが裏表紙に「非売品」と書いて

 あってガックリ。まあ、でもはじめてこの本お拝むことができた。

          *

●「街の記憶」石橋総合印刷(非売品)1989年 ¥420

・2010年8月13日。この本は1989年当時の神保町の記録。著名人が寄稿して

 いて写真もたっぷりあった。赤瀬川原平美学校の先生をしていた1980年

 頃のことを書いていて、授業が終わると生徒たちとみんなで三崎町の大衆酒場

 「後楽」に繰り出したと書いてある。「後楽」は学生のころよく通っていた酒場。

 もしかしたら赤瀬川原平とすれ違っていたかもしれない。この本、一箱で売って

 しまったのだ。いまとなっては後悔しています。

          *

●「ビートルズ日本公演パンフ」

●「ビートルズ1964USAツアーパンフ(ポスター付き)」

・2010年8月21日。「夏のイロイロ箱市」にて。一週間後にまた出かけてい

 るのだな。この日にことはこのブログに詳しいのでそちらをみてください。

 この二つのパンフを手にしたときは狂喜乱舞。

 いままで最大の掘り出しものじゃないか。日本公演パンフはすごく充実していて

 湯川れい子など何人もの音楽評論家がぎっしりと書いている。内田裕也やドリフ

 なんかの前座の写真まで載っている。USAツアーのほうはポスターつきであり、

 こんなものがこんなに安く手に入っていいのだろうかと興奮していました。

・このふたつ後日、知り合いの古本屋さんに鑑定してもらたらレプリカであることが

 判明しました。ちょっとがっかりはしましたが束の間の夢を手にしました。

heno3ban.hatenablog.com          *

●「架空の庭」矢川澄子(大和書房)¥740

・2011年5月12日。この本のことはよく覚えていないし手元にない。

・このころは武蔵境に住んでいて、ポラン書房に行くのにはひばりヶ丘

 まで長くバスに乗ってそこから西武池袋線大泉学園なのでずいぶんと

 時間がかかった。

          *

●「新編・谷根千路地事典」(住まいの図書館出版)

●「眼の狩人」大竹昭子ちくま文庫

・2013年5月20日。この二冊にしたってなかなか出会える本ではない。

 過去の記事を参照してください。

heno3ban.hatenablog.com

●「どらネコ文太」本間千恵子(講談社)S51年 ¥300

・2014年3月12日。池袋リブロ古本市で。ポラン書房のブースで購入。

 おもしろいのだがこのような催事のときでもポラン書房の本が目につき

 買ってしまう。「どらネコ文太」はわたしが興味を持った数少ない少女

 漫画。見つけたときの興奮と言ったら、もうあなた。

          *

●「また横道にそれますが」田中小実昌旺文社文庫)¥500

●「落語無頼語録」大西信行(角川文庫)¥150

・2014年7月27日。「落語無頼語録」はずっと探してた本

   なのでほんとうれしかった。

          *

●「こけし」カラーブックス(保育社)¥200

・2016年6月2日。カラーブックスのなかでも人気のある「こけし」。

 これが200円というのがいいところ。

          *

●「ふくのゆのけいちゃん」秋山とも子(こどものとも)¥55

●「モグモグでんしゃ」井上洋介こどものとも)¥55

●「じろうひとりででんしゃにのる」中西恵子こどものとも)¥55

●「しきぶとんさんかけぶとんさんまくらさん」高野文子

 (こどものとも)¥55

・2017年7月26日。店頭で1冊55円の「こどものとも」あさるのは

 楽しみでした。

          *

●「そのばしのぎの犯罪 第一部 第二部 特装版」永島慎二青林堂

・2017年12月21日。いやあ、この本に出会えるとは。感無量でした。

          *

●「日本人の悲劇」金子光晴旺文社文庫

●「三文役者の無責任放言録」殿山泰司(角川文庫)

・2019年1月2日。この日はこの後モンガ堂へはしご。大泉学園から

 バスで青梅街道車庫。青梅街道車庫で荻窪行に乗り換えて桃井四丁目。

 これも長いバスの旅でした。

          *

・それにしても残念でならない。コロナ禍で東京へ、古本屋へ行くことを

 自粛しているのでお店には行けない。ただ思い出だけが残ることに。

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2020年をふりかえる……ことば編

・ことし出会ったことば。

           

・「自由を得た代わりに、自らの言動を自省するのではなく、

  自らの責任を他者に押し付けて、自分は常に正義の側に

  いると言わんばかりの、計算が先行する社会になって

  しまった」

 (2/15 毎日新聞朝刊 保坂正康の昭和史のかたち)

           

・「安倍首相がやりたいことで、見えてくるのは憲法改正だけ。

  実行力があるということを一生懸命主張しているけれど、

  それ以外に何をやりたいのか、さっぱりわからない」

(3/12 毎日新聞夕刊 この国はどこへ、これだけは言いたい

 哲学者 内山節 コロナ禍に思う)

           

・「日本経済にとってプラスだから外国からの移民を受け入れよう

  という議論が、「経済的に役に立たない人間には居場所を与えない」

  という考えにつながっていないか」

(THE BIG ISSUE vol.379 温又柔 移民社会を生きるヒント)

           

・「他人のように成功するより、自分らしく失敗しなさい」

(4/12 大林宣彦 佐々木誠 Twiterより)

           

・「多くの人が深く疑うことに耐えられず、軽く信じてしまう。

  それが、たくさんの問題につながり、不幸な国を造ることになる」

(4/24 毎日新聞夕刊 佐高信 この国はどこへ)

           

・「普通の国民の普通の生活の場への想像力がない。みんな二世三世の

  お坊ちゃんだからか。二塁にいるから自分は二塁打を打ったと

  思っているが、違うよ。きみたちは二塁に生まれただけだ」

(6/21 毎日新聞朝刊 池澤夏樹 シリーズ疫病と人間)

           

・「いじめの問題もそうだが、日本は問題を解決しようとすると、

  被害者が頑張らないといけないことが多いと感じる」

(7/10 毎日新聞朝刊 論点 春名風花 SNS規制のあり方)

           

・「悲観主義は気分に、楽観主義は意思によるものである」

(8/3 毎日新聞夕刊 片桐はいり

           

・「アランの幸福論。人間の目は遠いところを見て落ち着くものなのだ。

  星や海の水平線でもながめていれば目はやすらく。目がやすらげば

  頭は自由になる」

(8/16 毎日新聞朝刊 海原純子 新・心のサプリ)

           

・「どんなに注意してもウイルスに感染することはあり、それは道徳とは

  何の関係もない。道徳的な行動とは、誰かが感染したらその人が元気

  かどうか心配してあげることだ」

(8/20 毎日新聞朝刊 マルクス・ガブリエル オピニオン)

           

・「リスクの大きさが明確でないときは、まずは最悪の事態を想定し、

  事実が明らかになるに従ってリスク管理の範囲を小さくしていく、

  これが鉄則だ。しかし、日本政府は実態がよく分からないとき、

  リスクを小さく見積がちで「今のところ大丈夫」などと説明する」

(9/5 毎日新聞朝刊 神里達博 シリーズ疫病と人間)

           

・「片っ端から本を読むと好きな本が分かる。それで好きなこと、

  やりたいことを見つけるとよい」

(9/23 毎日新聞夕刊  瀬戸内寂聴

           

・「健康や清潔さが次第に義務化されてきている。健康でない人は社会

  のルールを守れない人というふうに。元々人間って不健全なものでも

  楽しむ権利があるわけでしょ。それが違ってきていると思うんです。

  社会の潔癖化というのかな。それと相まって貧困が自己責任のように

  語られる」

(10/28 毎日新聞夕刊 辺見庸

2020年をふりかえる

 

・ちょっと早いがことしをふりかえります。

・ことしは棚を貸してもらっている古書西荻モンガ堂に2回本を

 送って並べてもらった。いつもだと月に一度はおじゃましていたのに

 2月以来お伺いできていない。

・古本屋には3月以降ほとんど行けてない。北本の富士書房、

 深谷の須方書店に1回づつ行ったぐらい。古本に飢えてます。

          *

・ことし読んで面白かった本。

● 『深夜高速バスに100回ぐらい乗ってわかったこと』スズキナオ

 (スタンドブックス)……すごく視点がよくておもしろいことを

 やっているなと思った。

● 『升田幸三自伝 名人に香車を引いた男』(朝日文庫

● 『サムライ評伝 三船敏郎』松田美智子(文藝春秋

● 『一本の茎の上に』茨木のり子ちくま文庫

 ……茨木のり子がやはり一番好きな作家である!

● 『言葉が通じてこそ、友だちになれる』茨木のり子、金裕鴻

 (筑摩書房)……茨木のり子の詩以外は全部読んだなと思っていたら、

 浦和の武蔵野書房でみつける。武蔵野書房が3月で閉店したのは非常に

 残念。

● 『皇室、小説、ふらふら鉄道のこと。』原武史、三浦しおん(角川書店

● 『待ってました』吉川潮(新潮社)

● 『マイ京都慕情』みうらじゅん(新潮社)……「京都慕情」は小学生のころ

 よく歌っていました。同時代を生きているのだな、みうらじゅん

● 『どくろ杯』金子光晴(中公文庫)

● 『ふたりの笑タイム』小林信彦萩本欽一集英社

● 『ふふふの歩』先崎学講談社文庫)

● 『ドキュメント 単独行遭難』羽根田治(ヤマケイ文庫)……この本は最近の

 山行に警鐘を鳴らしてくれました。

● 『ボン書店の幻』内堀弘白地社)……単行本で再読。名著。

● 『個人のたたかい』茨木のり子(童話社)……再読。

● 『黄色い涙市川森一(大和書房)……このころは再読が多いなあ。

● 『旅のつばくろ』沢木耕太郎(新潮社)……わたしに文才があれば、こんな

 旅の経験を書いてみたい。

● 『ブックオフ大学ぶらぶら学部』(岬書店)……Zさんが書いたせどり史が秀逸。

 ちなみにこの本は古書西荻モンガ堂の通販で購入。

● 『旅の途中』筑紫哲也朝日文庫

● 『一門』神田憲行朝日新聞出版)

● 『食堂のおばちゃん』山口恵以子(角川春樹事務所)……シリーズ3冊読んだ。

 食堂のおばちゃんに出会えたことはことしの収穫。

● 『拾われた男』松尾諭文藝春秋)……ことしのベスト本!

● 『源頼朝元木泰雄中公新書

● 『団地と移民』安田浩一角川書店

● 『でーれーガールズ』原田マハ祥伝社)……この本はポッドキャスト

 「ドンベーブックスの読んでミッション」で紹介されていた本。

 おかげさんで原田マハのおもしろさを知った。

● 『勝負師』内藤國雄、米長邦雄朝日新聞社)……題名からすると

 自己啓発本に思えるがそうではなかったところがよかった。

● 『熊谷直実高橋修吉川弘文館

● 『何はなくとも三木のり平』小林のり一(青土社

● 『マンション管理員オロオロ日記』南野苑生(三五館シンシャ)

● 『埼玉裏町メシ屋街道旅』苅部山本(光文社知恵の森文庫)

 ……いまの自分にうってつけ。内容充実。

● 『ひみつのしつもん』岸本佐知子筑摩書房

● 『右向け、左‼』水森亜土河出書房新社

● 『日本の名随筆 地名』谷川健一・編(作品社)……このシリーズは

 いろいろな書き手の文章が読めてお買い得だと思う。

          *

・まだまだ不安が続きますね。山内明美さんのことば

 「しんどい時は種をまくといい」。そのようにできるかどうか、

 来年もよろしくです!

 

水森亜土『右むけ~っ、左 !!』(河出書房新社)

 

 ・読了!

・こんなにさらさらと読めてしまう自伝も珍しい。

  どうしてさらさらと読めてしまうのか、石井好子

  あとがきのような文章で納得した(つもり)。大好物が

  わたしと一緒で、そこのところを読んでいたら、

  食べたくなってスーパーに買いに行ってしまった。

  季節外れであるのに(^^)

「埼玉ぶらり歴史探訪ルートガイド」(メイツ出版)

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深谷清心寺 平忠度の墓

深谷 清心寺の平忠度の墓に行ってきました。中山道から高崎線をまたいですぐ。

  日本史のなかでも好きな時代が源平の合戦。平忠度は清盛の弟で薩摩守

  いまは死語かもしれないが昭和のころは電車をキセルすることを薩摩守と呼んでいた。

 これはこの忠度=ただのりにひっかけているから。

・まあ、そんなことはどうでもいいのだが。若いころ、木曽から岐阜にかけて中山道を歩いた

 ことがあるがその時に西行の墓や和泉式部の墓が中山道沿いにあったことを思い出した。

  中山道平安時代の著名人の墓についてだれか考察してくれないだろうか。でも、当時の

 旅人は「おっ、こんなところに西行の墓がある。ちょっと寄ってみるか」という気分になったの

 だろう。名所でもあったのだと思う。

平忠度は、一の谷の合戦で岡部六弥太に討たれる。岡部はこの深谷あたりの武士で、

 忠度の首を持ちかえって弔ったという。

・同じ一の谷の合戦で清盛の孫、平維盛を討ち取ったのは熊谷直実であるし、義経と並んで

 その時の大将が源範頼。範頼の終焉の地の伝説が北本にはある。

木曽義仲は、武蔵嵐山で生まれているし、それよりなにより清和源氏の祖である源経基

 館跡が鴻巣にある。

・「埼玉ぶらり歴史探訪ルートガイド」(メイツ出版)はこれらの歴史の地を歩くのに最良の本

 である。清心寺は載っていないが……。

・わたしの故郷の氏神である本太氷川神社が紹介されているのはうれしい。ガイド本に出る

  のは初めてではなかろうか。

 

埼玉 ぶらり歴史探訪ルートガイド