NO WAR
・深谷シネマで『ドライブ・マイ・カー』を鑑賞。
・平日の昼間だというのに客席の7割は埋まっていた
だろうか。それだけ期待値が高いということだ。
*
・多様性はやさしいということを感じた。これはどこかで
感じたなと思ったら、この間見たクリント・イーストウッドの
「クライ・マッチョ」だった。『ドライブ・マイ・カー』の
ほうがもちろん練ってあるが。
・最後のあたりは、花村萬月のエッセイ「自由に至る旅」を
思い起こされた。博多から東京まで1日でバイクで疾走する。
そのライブ感がこの映画にも感じられた。
・今回は女性の複雑な心情と男性の弱さが少し抑えられていたかな。
・いつもの独特のカメラワークはなかったが、しつこいともいえる
対話シーンの積み重ねに現実と芝居、複数のストーリーがねじれて
重なっていくところは濱口作品の特徴であり、それがためにくさく
なるようなことはなく、3時間という長編でありながら映画のなかに
引き込ませてくれる。
・くさくならないというのは、急に泣きながら駆け出すところに効果音が
はいってきたりということがないからなんだね。
・そんなところや先に書いた多様性が日本映画の枠を超えているから、
世界で通用しているんだと思う。
*
・こんなことを書くとアレだけどやはり「ハッピーアワー」の方が
衝撃的だったので好きだな。
・深谷シネマ全景。旧七ツ梅酒造という造り酒屋の
跡地に建っている。つくづくここに映画館が
あることがうれしい。東京まで映画を観に行く
ことがなくなった。
・入場する前の待合から窓の外を眺める。
ステンドグラスがかわいい。
・敷地内は実際の映画のロケに使われていて
こんなものが残っていたりしてたのしい。
・森まゆみ『聖子ー新宿の文壇BAR「風紋」の女主人』
(亜紀書房)読了!
・画家であった父のことからはじまっていて、森さんは
父の足跡をフランスまで渡る。なんというフットワーク
の軽さ。取材もあたかも谷根千を廻っているように
しらみつぶしの感あり。
・出てくるひとの著名人の数がすごい。キーになる人は
これまた取材していて、そのほかの人も著書にエピソードを
書き加えて人物を浮かび上がらせている。
・佐野英二郎の名前が出てきて、誰だっけと思ったら、
「バスラ―の白い空から」を書いた人だ。
*
・読んでいて思ったのは、新宿に文化があったんだな。
そんないい時代があったんだな、と。これが銀座の
文壇BARだったら全く違っていたんじゃないだろうか。
うまくいえないけどね。
・70年代の後半ぐらいからなら新宿の文化にすこし触れて
いたけど。なんというかな、自由な大人の感じ。他の
繁華街、たとえば渋谷とは全然違う感じがあった。
飲んだりしても落ち着けるというか。
*
・BARに行きたくなったなあ。聖子さんのような女主人の
いるところへ。
駅前の古本屋ってめずらしくないかい。わたしが
ぐらい。だいたい駅の近くにある古本屋は商店街
なんかからちょっとずれた横町にひっそりあったり
することが多いんじゃない。知らない駅に降りて、
この角を曲がったあたりに古本屋はないかななんて、
探しているとそこに「古本」の看板が出ていたり
すると「やったー!」ってなるよね。
・「富士書房」は、文庫本が充実していて男性作家、
女性作家、歴史もの、均一などに分かれていて、
50音順に並んでいるので探しやすい。探しやすいと
いうのがわたしにとっては、好きな古本屋のポイント
なんだけど。ジャンルわけがキッチリしているのは、
気持ちいいよね。まあ、ぐちゃぐちゃもいいんだけど、
詩のコーナーがとびとびにあったりするともうちょっと
どうにかならないの、って思ってしまう。
を購入。
*
・せっかく北本にきたのだからと「石戸蒲のサクラ」を
見にいくことにする。まだ、開花まで1か月あまり
ありますが。
・大河ドラマ「鎌倉殿の13人」を楽しくみていますが、
このサクラは頼朝の弟である源範頼が植えたといわれる
伝説がある。大正時代には樹齢800年で幹回り11m、
日本の5大サクラのひとつに数えられていて天然記念物。
・いまは残念ながら二代目だそうでそこまでは大きくないが
風格を感じさせるサクラである。
・幹の前に古い石の祠のようなものが気になる。
いまは保管しているそうだが、日本で4番目に
古い鎌倉時代の板石塔婆が置いてあったそうだ。
・北本駅のホームの案内板。開花したらまた
来てみたい。
・原田マハ『キネマの神様』(文春文庫)読了!
・続けての原田マハ。まさしくマハにハマってしまった。
*
・映画にもなったから、話題の本である。これから読むひと
もいるだろうから内容は書かないが、ひとつだけ。
1989年12月16日に観た、ということがでてくる。いやあ、
わたしも観た。わたしが観たのは1990年4月16日。
ロードショーを観たのにこんなに期間が離れているのは、
そうそう半年間もずっとロングランでやっていたのだ。
・当時、わたしは職場が新橋にあり、仕事が終わってから
レイトショーで観ようとシネスイッチ銀座まで歩いて
行ったのだが「満員札止め」。何回行っても入れなかった。
それで観るのに半年もかかってしまったのだ。
・この本の解説で片桐はいりも「ニュー・シネマ・パラダイス」
にふれていて、単館ロードショーだったとのこと。
いまじゃ、考えられないだろうね。
・わたしも泣いた。この本にも同じようなことが書いて
あるが、ラストシーンで泣いたから恥かしくてね。まわりの
客はほとんど女性だったし。最後まで椅子に座っていて、
こっそりと席を立った。
・1週間後にもう一度観に行って同じように泣いた。