「永島慎二と漫画家残酷物語」

・近所のゲオで旧作DVDが7泊8日で80円なので、「マイ・バック・ページ
 を借りて観賞する。80円で人件費、店舗代が稼げるのだろうか。
・映画のことをいうと、主人公の葛藤がテーマなのでそのこころ
 の動きもうまくでていたんじゃないかな。時代の描写もむずかしい
 と思うけど、グレーが主体な街の色もよく表現されていた。
・ただし、週刊東都の表紙のグラビアアイドルのことは、中途半端な
 感じがした。唐突に「3年後に22歳で死んだ」というだけでは
 なんのことだかわからない。
・原作のはなしになっちゃうけど、ひとつの事件が進行しながら、
 そのほかに複数の出来事をつなげて、1960年代後半から1970年代
 を浮き上がらせている。そのなかのひとつがグラビアアイドルの
 はなし。原作を読んでいるからわかることなのだが。

マイ・バック・ページ - ある60年代の物語

マイ・バック・ページ - ある60年代の物語

          
川本三郎の「マイ・バック・ページ」のなかにギターのうまい
 「みつはしくん」のはなしが出てくるが、きょう聴いたトークイベント
 でも「みつはしくん」のことがでてきた。「みつはしくん」は永島慎二
 アシスタントをしている三橋乙椰=シバである。
          
・きょう行ってきたトークイベントは「永島慎二漫画家残酷物語」である。

8月17日(土) 阿佐ヶ谷ロフトA
永島慎二漫画家残酷物語
【出演】
橋本一郎(作家・元朝日ソノラマ)
戸田利吉郎(少年画報社社長)
小林鉦明(「柔道一直線」元担当者)
真崎守(マンガ研究家)
http://www.loft-prj.co.jp/schedule/lofta/17172

永島慎二に関するトークイベントは珍しい。わたしは初めて参加する。
 始まる前や休憩中は、はっぴいえんどがエンドレスで流れていた。
 全体で30人ぐらいのお客さんか。まずは、橋本氏と真崎守の二人の
 はなし。橋本氏がサンコミ版「漫画家残酷物語」の担当編集者。
 真�啗守は、この時にかかわりを持っていて。2巻、3巻は、真崎が
 作品のセレクトをしているという。
・後半は、少年画報の戸田社長が貸本時代のはなし、小林氏が
 「柔道一直線」のはなしをした。原作の梶原一騎のはなしがおもしろ
 かったな。当時(昭和44年)ごろは、「巨人の星」「あしたのジョー
 「柔道一直線」など9本の連載を抱えていたというから尋常じゃない!
・橋本氏がサンコミで、当時の売れっ子作家五木寛之に巻頭の文を
 書いてもらうのに苦労したはなしもよかった。
          
・真崎守。肩書きがマンガ研究家になっているが、わたしにとっては
 「はみだし野郎の伝説」の漫画家だ。もうひとりの青春漫画の巨匠と
 いえるんじゃないだろうか。虫プロにいていつくものアニメにもかか 
 わっている。虫プロ永島慎二をひっぱったのも真崎だ。
・峠あかねという別名で漫画批評も書いていて、「漫画家残酷物語」の
 解説も全巻に書いている。だからだと思うのだが、批評家として
 客観的にものごとを見ている。当時の漫画界の状況などわかりやすく、
 奥が深いはなしがじつにおもしろかった。
手塚治虫は、あらゆるジャンルの漫画を手掛けてスーパーヒーロー
 を作ったから、後から出てくる漫画家は漫画を描くことに苦労した。
 そのなかでも石ノ森章太郎は才能があったからそれを覆して、
 永島慎二は違う漫画の方向を引き出した。見開きページの
 うちのひとコマで勝負した。そうか、三人が描いていたCOMの見方も
 かわってくるなあ。
・アニメ映画「ジャングル大帝」は、制作が真崎守、演出が永島慎二
 朝日ソノラマソノシートでテーマ曲を聴いたが、富田勲とのやり
 とりというのもいいなあ。アニメーション草創期でみんなまだ
 スタッフが20代だったという。
・「ジャングル大帝」は、中山道沿いの浦和東宝へおふくろに
 連れられて観に行った。わたしが生まれて初めての映画アニメ。
 それだけに印象深い。
・それにしても真崎守のはなしをもっと聞きたい。本を読みたい。

真崎守 Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%9C%9F%E5%B4%8E%E5%AE%88