2020年をふりかえる……ことば編

・ことし出会ったことば。

           

・「自由を得た代わりに、自らの言動を自省するのではなく、

  自らの責任を他者に押し付けて、自分は常に正義の側に

  いると言わんばかりの、計算が先行する社会になって

  しまった」

 (2/15 毎日新聞朝刊 保坂正康の昭和史のかたち)

           

・「安倍首相がやりたいことで、見えてくるのは憲法改正だけ。

  実行力があるということを一生懸命主張しているけれど、

  それ以外に何をやりたいのか、さっぱりわからない」

(3/12 毎日新聞夕刊 この国はどこへ、これだけは言いたい

 哲学者 内山節 コロナ禍に思う)

           

・「日本経済にとってプラスだから外国からの移民を受け入れよう

  という議論が、「経済的に役に立たない人間には居場所を与えない」

  という考えにつながっていないか」

(THE BIG ISSUE vol.379 温又柔 移民社会を生きるヒント)

           

・「他人のように成功するより、自分らしく失敗しなさい」

(4/12 大林宣彦 佐々木誠 Twiterより)

           

・「多くの人が深く疑うことに耐えられず、軽く信じてしまう。

  それが、たくさんの問題につながり、不幸な国を造ることになる」

(4/24 毎日新聞夕刊 佐高信 この国はどこへ)

           

・「普通の国民の普通の生活の場への想像力がない。みんな二世三世の

  お坊ちゃんだからか。二塁にいるから自分は二塁打を打ったと

  思っているが、違うよ。きみたちは二塁に生まれただけだ」

(6/21 毎日新聞朝刊 池澤夏樹 シリーズ疫病と人間)

           

・「いじめの問題もそうだが、日本は問題を解決しようとすると、

  被害者が頑張らないといけないことが多いと感じる」

(7/10 毎日新聞朝刊 論点 春名風花 SNS規制のあり方)

           

・「悲観主義は気分に、楽観主義は意思によるものである」

(8/3 毎日新聞夕刊 片桐はいり

           

・「アランの幸福論。人間の目は遠いところを見て落ち着くものなのだ。

  星や海の水平線でもながめていれば目はやすらく。目がやすらげば

  頭は自由になる」

(8/16 毎日新聞朝刊 海原純子 新・心のサプリ)

           

・「どんなに注意してもウイルスに感染することはあり、それは道徳とは

  何の関係もない。道徳的な行動とは、誰かが感染したらその人が元気

  かどうか心配してあげることだ」

(8/20 毎日新聞朝刊 マルクス・ガブリエル オピニオン)

           

・「リスクの大きさが明確でないときは、まずは最悪の事態を想定し、

  事実が明らかになるに従ってリスク管理の範囲を小さくしていく、

  これが鉄則だ。しかし、日本政府は実態がよく分からないとき、

  リスクを小さく見積がちで「今のところ大丈夫」などと説明する」

(9/5 毎日新聞朝刊 神里達博 シリーズ疫病と人間)

           

・「片っ端から本を読むと好きな本が分かる。それで好きなこと、

  やりたいことを見つけるとよい」

(9/23 毎日新聞夕刊  瀬戸内寂聴

           

・「健康や清潔さが次第に義務化されてきている。健康でない人は社会

  のルールを守れない人というふうに。元々人間って不健全なものでも

  楽しむ権利があるわけでしょ。それが違ってきていると思うんです。

  社会の潔癖化というのかな。それと相まって貧困が自己責任のように

  語られる」

(10/28 毎日新聞夕刊 辺見庸