殿山泰司『三文役者 あなあきい伝(PART 1・2)』(ちくま文庫)

・ここんところ本が読めない。気になる新書を買ってきては

 途中で投げ出している。新書が読めない。

・本棚には読んでいない本がたくさんある。読もうと思って

 買ってきた本たち。そんな本が並んでいるのに、読もうと

 思う本が見つからない。そんな中で探しあてたのがこの本。

講談社文庫版がパート1が三冊、パート2が一冊。ちくま文庫

 版もパート1が三冊、パート2が一冊持っている。つまり、

 パート1が六冊、パート2が二冊ある。

・こんなに持っているのに『三文役者 あなあきい伝』はたぶん

 読んでいないと思う。殿山泰司は好きだから他の本は読んで

 いるし、これとついをなす新藤兼人「三文役者の死」は新刊が

 出たときにすぐ買って読んだ覚えがある。

・いや『三文役者 あなあきい伝』は少しは読んでいるのである。

 でもなんかいかチャレンジしているのに最初のほうで投げ出し

 ているのである。

殿山泰司『三文役者 あなあきい伝(PART 1・PART 2)』読了!

 でも今回は引き込まれて全部読んだ。そういうときもある。

 

 

 

 ・殿山泰司といえば、銀座通りから有楽町寄りには入った

 道にある「おでんお多幸」の息子。この本にも書いてあるが

 人出に渡ってしまって殿山とは関係なくなったが「おでんお多幸」

 にはよくいったな。ランチのおでん定食。夜も食べに行った。

 美味しかったな。いつの間にかなくなってしまったが。

          *

殿山泰司の自伝のような本である。あなあきい、とつけたのが

 よくわかる。「一番数多く戦死したのは大正っこである」と

 書いてあるように大正四年生まれの殿山のまわりには戦争で知人を

 たくさん亡くしている。ゼイタクは敵だ、というが「戦争ほど

 ゼイタクなものはない」とも言っている。なるほどほんとそうだ。

・「この国は革命が世界で一番遅い」とも言っている。現代で考えたって

 こちらはきちんと払っているのに私利私欲、利権にまみれて税金が

 あらぬことに使われていると感じる。あなあきいでいいじゃないかと

 思えてくるよね。

          *

・新宿DIGの階段を降りるというはなしも面白い。DIGとは懐かしい。

 新宿でよく行ったジャズ喫茶といえば紀伊国屋さくらやの地下に

 あったDIGだよ。忘れてた。個性的というか、胡散臭いひとたちが

 いつもいたよ。

         *

・ほんと面白かった。なんでこの本を読んでいなかったのか

 不思議である。みなさんにおススメします。さらっとしか書いて

 ないけど経験した戦争のことは重要な歴史です。おススメとは

 言っても女性にはどうかな。なんたって殿山泰司だからな。