南陀楼綾繁『谷根千ちいさなお店散歩』

・大家さん廻り。これは新人の助っ人さんから出た要望だった。大家さんの
 場所がわからないので連れて行って欲しい。一箱古本市を行うスポットは
 10か所以上。このスポットを大家さんと呼んでいる。この大家さんの
 場所に助っ人さんを案内しながら、谷根千を散歩するのが大家さん廻り。
          
・毎年、大家さん廻りは、一箱古本市前の助っ人集会のあとに行われる。
 谷根千も結構ひろいので、5チームに分けて、各大家さんを3から4スポット
 まわることにした。
・わたしたちのチームは、助っ人さん二人とわたし、そして南陀楼綾繁さん。
・助っ人集会の会場である不忍通りふれあい館の裏口から出発。あんぱちやから
 アイス最中の芋甚を右にまがって藍染大通りへ。ここからcafe&bar猫八を横に
 見ながら、南陀楼さんの先導により、右の狭い横丁に入る。うわっ、知らな
 かったこの道は。
・すぐに小さいパン屋さんに出合う。ここが「Bonjour mojo2」。南陀楼さんを
 見つけた店主さんがニコニコしている。さっと右手を挙げた南陀楼さんのポーズ。
 これが実によいのだ。
          
・わたしは、さいたまに住んでいる。故郷でありながら、ちょっと外れているので
 近くに知り合いはいない。通うような飲み屋もないし、外食するようなところは
 チェーン店ばかり。
・近くに顔見知りがいないというのは、誰に気兼ねすることなく暮らせるということも
 あるが、さみしくもある。ひと恋しくなるのである。
・そうなのだ、住んでいる町で知り合いにあって、会話に入る前の間合いともいえる
 南陀楼さんのポーズがこれがうらやましいのだ。
          
南陀楼綾繁谷根千ちいさなお店散歩』

谷根千ちいさなお店散歩

谷根千ちいさなお店散歩

・これは20年近くこの界隈に住んできた南陀楼さんの好きな場所、好きな人のことを
 書いた本である。紹介されているお店は40スポット。全てといっていいスポットが
 「不忍ブックストリートMAP 2014〜15」に掲載されているこれが“好き”の証拠。
・ただの谷根千のガイドブックではない。たとえば、「貸はらっぱ音地」なんて、
 見た目はただの空き地なんだから、数行でしか紹介しない雑誌ではとりあげないだろう。
 南陀楼さんは、「貸はらっぱ音地」ってなんだということを掘り下げて書いているから、
 ただの空き地だって、いろいろなものが見えてくる。やはり、これは自分の好きな場所、
 好きな人のことではないと書けないことなのだと思う。
・こう書いてきて思ったのは、同じ不忍ブックストリートの実行委員である中濱潤子さん
 の本『ヴァン・ナチュール 自然なワインがおいしい理由』と似ているなあと。
・この本もただのヴァンナチュールのガイドブックではない。 

『ヴァン・ナチュール 自然なワインがおいしい理由』
http://d.hatena.ne.jp/heno3ban/20131225

・あとね、和田高広さんの写真。店内の様子、店主の笑顔。P76のへび道の写真なんて
 最高ジャン!