・ちょっと前のはなしだが、久しぶりに古本屋めぐりを
しました。高円寺から荻窪、西荻窪、三鷹へ。
・高円寺の藍書店の店頭棚で懐かしい本を見つけました。
倉前盛通「悪の論理」(日本工業新聞社)
悪の論理―ゲオポリティク(地政学)とは何か (1980年) (Ohtemachi books)
- 作者: 倉前盛通
- 出版社/メーカー: 日本工業新聞社
- 発売日: 1980/05
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●出版年が間違えていますね。初版は1976年が正しい。
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・19歳のころ、日本工業新聞社出版局営業部でバイトを
していました。3か月ぐらいかな。大手町のサンケイビル。
・「悪の論理」は、このころ日本工業新聞社で一番売れて
いた本。わたしが藍書店で見つけたのは19刷。
・倉前さんがNHKに出演なさって、この本のことを紹介
されたことがあった。次の日はすぐに東販、日販から
注文が入って、大手書店からも電話が入ってきた。
・というようなことを覚えているなあ。
*
・サンケイビルの何階だかは忘れたが、出版局の編集部を
除いた部門と事業局がいっしょの部屋だった。ここの
事業局は、展示会などを主に開催していてやたらと活気が
あった。学生のアルバイトが何人もいたけど、みんな学校より
バイトを楽しんでいるようだった。まだ、このころは、
「公害防止装置展」なんて地味な展示会ばっかりだった。
しかしその後、ここが「MACWORLD EXPO」を始めるんだから、
びっくりぽんや。
*
・余談だが、サンケイビルには夕刊フジも入っていて、一度だけ
亡くなる1か月前の五味康祐にエレベーターで会ったことがある。
「あっ、すけべじじいだ!」とこころなかで叫んだ。
・たぶんこれを夕刊フジに連載していたのかな。
- 作者: 五味康祐
- 出版社/メーカー: サンケイ出版
- 発売日: 1980/06
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*
・営業部は正社員二人とバイト三人という小さい規模だった。
実質は営業が秋田さんひとりだった。
・わたしの人生のなかで出版社に勤めたのはこの時だけ。
秋田さんとは神保町によく出かけた。学校が近いから、
神保町は毎日のように出かけていたが、秋田さんには
未知の世界に連れて行ってもらった。
・まずは、取次。いま裏の大きなビルのあたり。木造の小さい
取次店を何軒もまわった。
・そのあとは書店。その時東京堂には初めて入った。
書店の場合は店員に声をかけるわけではなく、平台に
自社の本が並んでいるかを確認するだけだった。
・そして一休みで喫茶店。ラドリオに入ったのも秋田さんに
連れて行ってもらったのがはじめて。ラドリオがいまより
ももっと広かったのはご存知かな。コミガレの前に「リオ」
というフリースペースがあるがここがラドリオで表口だった。
いまあるのは裏口。いつのまにかラドリオとリオの二つに
分かれて、そのうちにリオは喫茶店をやめてしまっていまに
いたっている。
・ちなみにリオへはそれから閉店するまでよく通いました。
トアルコトラジャ珈琲とナポリタンがうまかった。
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・仕事が終わると神田ガード下に飲みに連れていってくれました。
いまでもあの横丁はあります。大越なんかの並び。10数件の
小さな店がごちゃごちゃになっているところ。
・店の名前は覚えていない。カウンターの立ち飲みで10人も
入れたかどうか。おばちゃんひとりがいて、つまみは
お通しの切り干し大根のみ。ビール大びんを二人で分けて飲んだ。
*
・その頃は、つげ義春の影響で川崎長太郎と井伏鱒二をよく読んでいた。
川崎長太郎は本屋、古本屋で見つけられなくてもっぱら図書館で
借りていた。井伏は新潮文庫かな。
・田村書店で井伏の全集(たしか筑摩だったか)を見つけて、
バイト代で買おうと思っているというはなしを飲みながら
秋田さんに相談したら、「やめたほうがよいよ」と
言われた。「全集を買ったら読まなくなるから」と。
そういうものかなと。全集は買わなかった。
・また、「東洋文庫を読みなさい」とも言われたな。
うーん、こちらは教えを守らずにまだ一冊も買っていない、読んでない。