自分が主人公

明石散人という作家は、謎めいていて覆面作家とも
いわれている。また、複数の人が書いているとも。
すごいのは、自分を主人公にして小説を書いていると
いうこと。それもスーパーマン。語学堪能、知識豊富。
まだ、むかしの本は、鳥玄坊なる脇役を抱えていたから、
やじきたのようなかけあいがあったから、それほど突出した
主人公という感じはしなかった。
しかし、この本はもうほんとうの主人公。
明石散人「視えずの魚」(講談社
また、でてくる仕掛けがすごいのなんのって。
ほんとうに世の中にこんなものがでてきたら歴史が
かわるだろうなというもの。それをお得意のミステリー仕立てで。
それにしてもいつもフィクションなのかノンフィクションなのか、
その境目をうまく描いている。虚虚実実実実虚虚。