……というようなことを思う。

・谷中のギャラリーTENで行われている
「谷根千工房がやって来た!」で、
 待望の「其の九十四」を手に入れる。
・特集「気になる人々」のなかで、森鴎外に会ったことが
 ある松本さんのはなしが載っていた。森鴎外なんて歴史上の人物だ
 と思っていたのにみじかに感じられる。
・こういうところが市井の人々を丹念に取材して、貴重な証言を
 聞き出してきた谷根千の存在は大きい。
森茉莉は鴎外にかわいがられたと自分で言っていたが、松本さんの
 はなしによると「かわいがり方なんて尋常じゃない」ほどだったそうだ。
・その森茉莉の「私の美男子論」(筑摩書房)を読む。

私の美男子論

私の美男子論

 そのなかに意外な人物を発見する。多々良純である。往年の脇役。
 どちらかというと喜劇っぽい役が多かった。それにしても美男子とは。
・いつも通っている近所の床屋で聞いたのだが、わたしのマンションと
 目と鼻の先に多々良純が住んでいたそうで、よく散歩していたとのこと。
多々良純は数年前に亡くなってしまったが、武蔵境にも谷根千があれば、
 貴重な映画や芝居のはなしを聞きだしてもらえただろうに。
・というようなことを思う。