・ほんと立て続けです、将棋本!
・これは記者から見た棋士。ということで
大崎善生とはまた違った視点で見ている。
対局が終わったあとのインタビューなど、そのときの
棋士の息遣いが聞こえてくるようだ。
・中村太地は性格がいいんだなあ。
・北野新太 『透明の棋士』(ミシマ社 コーヒーと一冊 2)
集めた作品集である。文章が古びてないね。というよりも
いまより新しいくらい。
・木村名人が塚田八段に負けて名人を譲る、その観戦記。
たばこはぷかぷか吸うし、升田は酒も飲んじゃう。
それどころか……。
・大山康晴の若いころのこと。
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彼ほど老成し、冷静な勝負度胸をもった男でも、ウヌボレからは
脱出できない。彼はいつもウヌボレで失敗した。しかし、落胆や
負けによって動揺したことがないのである。斬っても血がでない
とはこの男である。
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・自虐的なこともおもしろい。
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三、四十年もたってみなさい。坂口安吾の「堕落論」なんて、なんの
こったこんな当たり前のこと言ってやがるにすぎないのか……
>>
・「堕落論」読み直してみるか!
・坂口安吾 『勝負師』(中公文庫)読了。
・小津安二郎の映画を観ないのに小津に関する本
を読む。立川談志が好きでもないのに談志の弟子たち
の本を読む。そして将棋を指さないのに将棋に関する
本が好きだ。どうしてなんだろう。きっかけは藤井聡太。
NHK杯トーナメントを観るようになった。おとなになって
から将棋に勝ったことがない。それも最後に指したのは
30年も前だ。
・将棋は勝負なんで負けがある。それがいいんだよな。
勝ちより負けのなかに人間が現れてくるというか、
エピソードが多いと思う。そんなことをこのアンソロジーは
教えてくれた。まだまだ将棋の本が読みたい。
・いろいろな人が書いているが、このなかで小林秀雄の未来を
予言するような鋭い視点を持った文章が素晴らしい。
・いとこが母方の家系図を送って来てくれた。
興味深く眺めているとふと思い出したことがある。
・子供のころ、ひいおばあさんに高崎駅前の自転車預かりを
営んでいた親戚の家で会ったことがあるなあ。名前はくらさん。
明治10年生まれ、昭和45年に93歳で亡くなっている。たぶん
わたしが接っしたことのあるいちばん古いひとだと思う。
・明治のひとは完全に畳の生活だから正座がきちんとしていた。
だから芯が一本通っていたイメージ。それに女性は間違いなく
和装だった。日本髪を結っていたから寝る時は箱枕。そんな
ことを覚えている。
若いころに大正デモクラシーの影響をうけているように思う。
*
・「絶望の精神史」の二年後にこの本は書かれた。魏志倭人伝から
はじまる日本にまつわる歴史書物を通して日本人を探っていく。
解説で茨木のり子も書いているが、この本のよいところは
金子光晴に思想がないこと。マルクスとかそういうものによること
がないから難しいわからない単語が出てこない。
・日本の歴史を通して当時の文献を現代語訳して語られていく。
こういう視点はなかったなあ。それにアジアからヨーロッパに旅した
見聞と幼いころの明治を記憶が付け加えられて、延々と続く日本人の
性格があぶりだされている。
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へき地の国にありがちな独尊主義で自分の国が最上国とおもいこみ、
その国民に選ばれた民として驕りたかぶり、他国人を見下してひととも
思わない風習をつくり、長い年月それをまもりつづけてきたためです。
>>
・それにしても「50がらみの老人」ということばを見つけて
時代を感じてしまった。