永島慎二雑記14

あまり古いはなしをしてもしょうがないと思っているのだが。
永島慎二「フーテン」(講談社漫画文庫)
埼玉の高校生であるわたしにはバイブルであった。
あの頃の新宿は時代の先端をいく文化の街。
気分的にどうしようもなくて学校をさぼって歌舞伎町に行った。
地球座の裏、横丁に「アートヴィレッジ」という自主上映の映画館があった。
あの当時にしては高い入場料……学生700円を払う。どこかで拾ってきたような
バラバラの長いソファが並べてある。左右に大きなスピーカー。
左のスピーカーはノイズしかでてこない。同じビルの下の階には
ジャズのライブハウス「タロー」があってサックスやドラムの音色が
容赦なく聞こえてくる。そんななかでソファに横になりながら、
鉄っちゃん御用達のドキュメンタリー映画3本だてを観る。
客はわたしひとり。新宿にいるということだけで満足だった。