「つばめを動かす人たち」と「ゴジラ」

・4月29日のD坂シネマで「つばめを動かす人たち」を観ました、という続き。
 「つばめを動かす人たち」は、当時の花形特急列車を扱った23分の
 ドキュメンタリー映画
・この映画の音楽が伊福部昭。最初から重厚な音楽でどうしても「ゴジラ」を
 思い出してしまう。
・「つばめを動かす人たち」と「ゴジラ」は同じ1954年に作られていて、なにか
 関係があるのだろうか、というのが、気になって図書館で本を借りる。
・小林淳著 井上誠共編『伊福部昭の映画音楽』(ワイズ出版

伊福部昭の映画音楽

伊福部昭の映画音楽

・まず、公開日または完成年月日を調べてみると
 1954年8月25日「つばめを動かす人たち」
 1954年11月3日「ゴジラ
 となっている。「ゴジラ」は公開日だろうが、音楽ができたのが「つばめ……」
 のほうが早いとは一概にいえない。ちなみにこの年に伊福部昭の担当した
 映画音楽は13本もある。
・著者の小林淳は「つばめを動かす人たち」について、こう書いている。

東宝特撮怪獣映画で活躍したメカニック・キャラクターに付す示導動機に共通項
で結ばれる楽案を提供している。「つばめ」が疾走する画にこういった設計で
書かれた音楽がかぶさることで、聴覚からも映画の進行に拍車をかける。

・示導動機という用語がよくわからないのだが、音楽の元になっているところが
 同じだということらしい。
伊福部昭のコメントも載っていた。

「いうなればニュートン物理学の世界で成立している機械ですので、まあまあ
の速度があって、これぐらいの曲がつくのかな、と思ってやったわけです」

・わかりづらいが、「ゴジラ」と「つばめ」を同じようにとらえているように
 解釈できる。板さんがつぶやいていた「まあ、ゴジラも機関車も怪物といえ
 ばそうだし」ということに当てはまる。

東京駅入構前に行われる品川での「つばめ」の客車清掃、機関庫での車両点検
が進むシークエンス……。……には1993年(平成5年)の『ゴジラVSメカ
ゴジラ』(監督大河原孝夫特技監督川北紘一)で流れたメカゴジラの主題
音楽の原型ともとれる楽曲がかぶさる。映像が伝える情報に呼応し、時には
打楽器群の律動を強調し、重低音金管楽器群で荒々しく奏され、時には木管
楽器類、ピアノでゆったりと奏でられる。“人間たちの叡智によって操ら
れる冷たく巨大なメカニック”というイメージで結ばれている

伊福部昭は、鉄道記録映画を多く手がけているのだが、どれもこのような
 重厚感あふれる音楽ではなく、「映画の姿勢、性格を踏まえた上で考案
 されている」そうである。
・いやあ、それにしてもこの本おもしろいのだが、キッチリ映画を観ていない
 のわからない。