・芸術新潮1月号は、つげ義春特集。見ものは原画で読む。
漫画ってだいたいが紙は悪いし縮小されているから、原画を
見ると細かいタッチや線描があまりにも綺麗なので驚く。
原画はA3サイズで書かれているのかな。
・以前、府中美術館で見た「ねじ式」の原画は素晴らしかった。
今回の「紅い花」も印刷物とはいえ、いままで見てきた漫画と
は明らかに違ってシャープだ。他の名場面も素晴らしい。
「海辺の叙景」は全編生で原画を見てみたい。
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・もうひとつの目玉はつげのインタビュー。いままでもインタビュー
はいくつも読んできたけれど、いつもはぐらかされた感じが
していた。今回は、結構深く自作を語っている。インタビューアー
の山下裕二がいいのだなあ。読みごたえあります。
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・山下裕二のつげ作品の出会いが、昭和51年3月発行の小学館文庫
「ねじ式」と「紅い花」だという。わたしと一緒だ。佐々木昭一郎
の劇画ドラマ「紅い花」放映がその年の10月か。いろいろと批判
もあったドラマだがわたしは好きだなあ。
佐々木昭一郎「紅い花」イントロダクション
・タイトルバック曲はドノバン「The River Song」
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・もうずいぶんとむかしだが、椎名誠が「つげ義春の世界に出合えないか
思いながらいつも旅をしている」というようなことを言っていた。
これには同感だった。「リアリズムの宿」のなかに「鰺ヶ沢は漁師の
町でやたら床屋が多い」という吹き出しがあって、青森県鰺ヶ沢まで
確かめに行ったことがある。19歳の2月。五能線の鰺ヶ沢駅の近くには
それといって床屋が見つからず、港まで歩いていこうとしたのだが、
結構遠くて、吹雪でもあったので断念した。
・また、九州では商人宿を見つけて止まったことがある。そこはおばあさん
がひとりでやっていて、他に客もいなくて、夕食はしょぼく、まるで
「リアリズムの宿」だった。