・「土曜半どん」ということばをいまの人は知らないだろうな。
まだ週休一日制の時代、土曜日は仕事が正午まででした。
それで「土曜半どん」。半どんのどん、ってなんだろう。
・週末の土曜日午後休み。あしたは日曜日で一日休み。
仕事から開放された時間、これがたまらなくうれしい。
・そのころは西新橋で仕事をしていました。「土曜半どん」の
過ごし方は、歩いて銀座まで行って「銀巴里」で平野レミのシャンソンを
聴いたり、上野のジャズ喫茶「イトウ」で漫画を読みながらジャズを聴いたり
などなど。そして一番多く「土曜半どん」を過ごしたのが都営三田線で神保町。
・当時「スヰートポーヅ」はおばさんが仕切っていて席を案内してくれる。
ちょっと不愛想なところもあるんだけれど、水がなくなるとすぐに入れて
くれたり、他の席が空くと広い席に誘導してくれたりテキパキとして
親切なひとでした。
・90年代の終わりぐらいだったか、このおばさんの姿が見えなくなった。
店のひとに聞いたら辞めたという。わたしはこのおばさんが店主だと
思っていたので普通の店員さんだったと知ってびっくりした。
・いつも餃子12個の中皿ライス。それにまだ陽が高いからビールの小瓶。
おしゃれでしょう。一週間の仕事の疲れをビールの小瓶で流すのだ。
・その「スヰートポーヅ」が閉店するというツイートが流れてきた。唖然である。
わたしにとってあの餃子は唯一無二で日本一うまい。もうあの餃子が食べられないのか
と思うと悔しいし、寂しい。コロナでの閉店だという。コロナのばか!