刈部山本『埼玉「裏町メシ屋」街道旅』(光文社知恵の森文庫)

 

埼玉「裏町メシ屋」街道旅 (光文社知恵の森文庫)

埼玉「裏町メシ屋」街道旅 (光文社知恵の森文庫)

  • 作者:刈部 山本
  • 発売日: 2020/08/06
  • メディア: 文庫
 

 ・読了!

・むかし川口出身の友人と月島でもんじゃ焼きを食べたのだが、すごく慣れた手つきで焼いていた。聞いたら「子どもの頃、駄菓子屋でもんじゃ焼きを食べた」とのこと。川口の隣町であるわが故郷浦和には駄菓子屋にもんじゃ焼きはなかった。著者も川口出身でこのことを書いていた。浦和は文教都市でプライドが高く山の手志向なのに対して、川口は工場街で足立と陸続きなので下町の影響が大きいのではないかなぁ。

          *

・それにしても本の題名通り、埼玉の食について埋もれてしまいそうなお店を丁寧に詳しく書いてあるのに感心しました。著者が書いているけど埼玉のほうが入れ替わりの激しい東京より食文化が豊かなんじゃないかと、同意します。

小林のり一/戸田学 編 『何はなくとも三木のり平』 (青土社)

・読了。NHK BSPで「森光子生誕100年」を見ました。三木のり平が演出した「放浪記」「おもろい女」「雪まろげ」の舞台映像が見られたのはよかった。このタイミングで!

 

・序文で矢野誠一が「放浪記」のエピソードを書いていてそこから引き込まれて読んでしまった。

 

・驚いたのは三木のり平が「への三番」という名で主役の芝居があったということ。作者の小野田勇はなにを思って「への三番」とつけたんだろう。「への三番」研究家としては気になります。

 

・これだけほかの本からの引用文が多用されているのは珍しいんじゃないか。俳優としての古今亭志ん朝もよくでてくる。志ん朝ファンの方は読んでみるといいですよ。

神田憲行 『一門』 (朝日新聞出版)

・読了!将棋界で一番弟子が多いのが森信雄七段。

 その弟子たちが語る師匠のこと。一門というと相撲界とか

 落語界を思い浮かびますね。将棋界も師匠のいうことは

 絶対だそうです。

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松尾諭 『拾われた男』 (文藝春秋)

・知り合いの水玉ちゃんがインスタで紹介していた本が気になって

  読んでみた。いやあ、めちゃくちゃ面白かった。いろいろと工夫が

 詰まっていて、奇をてらわない文章。これは読ませるね。

・今年のベスト本!

 

拾われた男 (文春e-book)

拾われた男 (文春e-book)

 

 

筑紫哲也 『旅の途中』(朝日文庫) その3

筑紫哲也 『旅の途中』を読んでいて、沖縄タイムス

 作った豊平良顯が沖縄戦後、首里で瓦礫の中から

 陶器や文化財を集めて野外展示したところ、多くのひとが

 文化の渇きをいやすように集まってきたそうだ。

軍事、政治、経済などあらゆる面で全能であった異民族の統治の

下で、沖縄であり続けることができたのは、一にかかって文化の

力だった。

・沖縄の文化はこういう切羽詰まったところから強くなってきたんだ

 なあと思う。

                *

・この本は、出会った39人の人物像を書いている。もうひとり野中広務

 が印象に残った。強面ではあったがハト派であって沖縄などの問題に

 取り組んでいた。

行くところまで行かないとわかったくれないのか。自分のことだけ考えて

相手の痛みがわからないのか。ひとつの風が吹くとどうしてみんなそちらに

なびいてしまうのか。

現代社会に対する野中の危機感。野中や筑紫も亡くなり、このような

 ことを言えるひとたちがいま不足しているのはあきらか。先が見えない

 不安なコロナ禍のなかで瓦礫の山から掘り出してくれるひとにでてきて

欲しい。

 

 

筑紫哲也 『旅の途中』(朝日文庫) その2

・サークルの先輩がテレビ朝日でADをやっていて、その紹介で

 選挙速報番組のアルバイトをしたことがある。

・1980年衆参同日選挙。即日開票ではなく、翌日開票。朝6時に

 六本木集合だから後輩のアパートにでも泊まったのだったか。

・何十人も集まっていて、わたしの配置は選挙速報を伝えるアナウンサーの

 横で原稿をまとめているディレクターに各地の選管からの情報を渡す係り。

・まだアナログの時代。大きなスタジオにテーブルの上に何台もの電話が

 乗っている。たぶん47都道府県の選管分用意されていたんだと思う。

 そこにひとりづつアルバイトがつく。出口調査なんてなかったのか、番組が始まって

 からは静かなものだった。そのうちぽつぽつと電話が鳴りだし、アルバイトが受話器を

 とってメモをして手をあげる。わたしはそこに走っていってそのメモを受け取る。

・メモには「新潟三区 田中角栄 自民現 当選確実」なんて書いてある。そのメモを

 アナウンサーの横のディレクターにそっと渡す。そのメモをアナウンサーに渡して

 「ただいま速報が入りました。新潟三区 田中角栄 当選確実です。」なんて言う。

・電話がジャンジャンなって慌ただしい雰囲気のスタジオが当時の選挙番組。

  まだ若かったせいか走り回っているのに疲れた記憶はない。テレビに映らないところに

 モニターが並んでいて各局の選挙番組が音声を消して映されている。「おっ、NHK

 早いなあ」なんて言いながら見ているとまた手が上がって走りだす。

・選挙速報も佳境に入って来るとその大きなスタジオの離れているところに円卓のような

 ところにメインキャスターと解説者が数人座っていた。その中に筑紫哲也がいた。

 声は聞こえない。このとき初めてわかったがスタジオ内では音声は入っていないんだ。

 他の解説者に誰がいたのかは覚えていない。筑紫哲也はもう白髪頭だったと思うが。

   CMの時間なんかはメイクさんが入ってきてドウラン?なのか、顔を直していた。

・まあ、筑紫哲也に会ったことがあるというはなしでした。わたしが一番残念だったのは

  中里雅子に会えなかったこと。いまでいう人気女子アナですね。

 

 

 

筑紫哲也 『旅の途中』(朝日文庫) その1

www.youtube.com・日比谷野音での西岡恭蔵追悼コンサートは見に行きました。

 もう20年も前のことか。懐かしくユーチューブを見ていました。

・最初の演者が小室等。「風よ雲よ光よ……」。うん、どこかで聞いたこと

  あるなと思いググってみると武満徹が作詞作曲。石川セリが歌ってCD

 を出している。

筑紫哲也 『旅の途中』(朝日文庫)を読んでいるところ。その夜に布団の中で

 この本を読んでいたら武満徹のところでこの曲のことがでてきてびっくりした。

 そんなこともあるんだな。筑紫哲也のニュース番組(NEWS23ではない)

 で「翼」がエンディングテーマだったと。

・その次の日、すこし経って思い出した。わたしが覚えていたのはアンサリーの「翼」

 だと。でも、刷り込まれていたのは筑紫哲也のニュース番組だったのかもしれない。