「痕跡本のすすめ」と「わたしの小さな古本屋」

・先日、一箱本送り隊で塩竈に送る本の整理をしました。
 ちょっとだけですが……。何冊かの絵本の左上にシールが
 貼ってありまして、そこにマジックで「ひ」と一文字
 書いてあります。これはなんだろうって、なんだろうさんと
 はなしをしていました。
・たぶん、ひろしくんだか、ひとしくんという子供の持ち物で、
 ほかの兄弟の本と区別するためにお母さんが「ひ」と絵本に
 書いたんだろうと思う。ひとつの「ひ」という文字から
 妄想が膨らむ。これは痕跡本ですね。
          
・「痕跡本のすすめ」古沢和弘(太田出版)を読みました。

痕跡本のすすめ

痕跡本のすすめ

・「これは奇書かもしれない」と毎日新聞の書評で
 荻原魚雷さんが書いていましたが、古本から元の持ち主の
 痕跡を探すことを教えてもらいました。
・著者の古沢さん(ごっぱさん)もあとがきでこう記して
 います。

現在、古本は、大きく分けて「人気」と「希少性」のふたつが
価値の基準です。でも、僕は時折、その中に「痕跡」という
基準が入り込むことになったら、どれでけ面白くなるか……
なんて夢想してしまいます。

・だいたいそういうラインや書き込みなどは嫌なものでした。
 そういうものに肯定的にスポットライトをあてたのが、
 この本です。痕跡本の写真とごっぱさんの口調そのままの、
 軽快な文体、植草甚一のスクラップを観ているような楽しさ
 があります。
          
・「わたしの小さな古本屋」田中美穂洋泉社)を読んでいます。

わたしの小さな古本屋?倉敷「蟲文庫」に流れるやさしい時間

わたしの小さな古本屋?倉敷「蟲文庫」に流れるやさしい時間

・この本を読むと古本屋を始めたくなります。ほんとに。
 自分と向き合おうとしているところがよいですね。
 それが、文章のところどころでてきます。
・「祖父母」と題したエッセイなんか、ほろりとさせられます。
 永井宏をはじめ、有名無名の人達との交流も蟲さんの
 人柄が感じることができます。
          
・「住み開き 家から始めるコミュニティ」アサダワタル(筑摩書房
 が見つかりません。

住み開き―家から始めるコミュニティ

住み開き―家から始めるコミュニティ

・この本が新刊書店でみつからないのです。どこのコーナーに
 置いてあるのかわからない。エッセイやノンフィクション、
 ハウツー本、サブカルのコーナーを探しても見つからない。
 検索機は壊れているのかヒットしない。
毎日新聞の読書日和で紹介されていました。自分の家を開放
 してイベントをする。

住み開きとは、決まったメンバーの集まりにならない、自宅開放を
通じて仕事と私生活をつなげていく

 ということだそうだ。
・わたしの妄想がはたらいた。自宅を開放して、古本屋が
 できないだろうか。土日曜日だけ、自分の家を古本屋にする。
・置いてある本はすべて売り物。スリップに値段が書いてある。
 カウンターでは、コーヒーをだす。コーヒー豆はもちろん
 萬福亭。畳に根転がって、本も読める。ちゃぶ台をはさんで
 朗読会。段ボール箱にそれぞれ100円均一、200円均一など
 とかいて「ひとり一箱古本市」!
・うーん、なにかが生まれそうな気がする。