岡崎武志/古本屋ツア―・イン・ジャパン編著『中央線古本屋合算地図』(盛林堂書房)

・いやあ、この地図はいくら眺めていてもあきないわ。

・昭和30年以降、新宿から八王子までの古本屋が駅ごとに地図に収められている。       「あ、あそこにあったな」とか「あそこであの本買ったな」などあたまのなか

 を駆け巡っている。

・一番古い中央線の古本屋の記憶は、荻窪の教会通り。地図には3軒の古本屋が記載

 されている。4軒あったような気もするが。1982年ぐらいかな、当時井伏鱒二

 好きで、井伏の家を探しに行った帰りに深沢書店支店で二見書房サラ文庫の

 つげ義春5冊揃いを1,500円で売っていて迷ったんだ。確かこのうち2冊は持って

 いた。当時でもサラ文庫のつげ義春は珍しかった。それで買わずに帰ったのだが、

 気になって後日また店に行ったらなかったという古本はその時買わなくては

 いけないというパターン。

・この地図に載っていない古書店で気が付いたのが東小金井「ボヘミアン」。

 2009年だったかな開店して半年ぐらいで閉めてしまった。面白い本屋で、店の

 ショーウインドーに張り紙が貼ってある。「誰も買取りの本を持ってきてくれない」 

 とか。ストレートに自分の心情を吐きだしている。閉店するころは「辞めるったら、

 辞めてやる」と貼り紙してあった。ちょっと変だけど本の品ぞろえはよかった。

 この古本屋のことは北原尚彦さんが取り上げていた。

・北原さんの文章で思い出したのは、国分寺の「古い商業施設のようなところ」の

 古本屋。ここでは永島慎二傑作集 漫画のおべんとう箱 4巻揃いが4,000円だった。

 これも迷ったのだがちょっと状態がよくなかったので買わなかった。それにしても

 北原さんの中央線古本屋探訪は記憶力といいすごいな。

・あともうひとつは国立。駅南口から西国分寺よりのガードをくぐってすぐのところに

 古本屋があった。本棚というか背の高いスチールのラックに本を並べていたのを

 覚えている。ここのお店のことはギャラリービブリオの十松弘樹さんが書いていて

 「にんじん書房」という名前だったことがわかった。これもさすが国立の生き字引

 十松さんである。

・岡崎さん、古ツアさんの古本屋、中央線の愛が詰まった本であります。

・まだ盛林堂の通販で買えるようです。

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