角田光代 河野丈洋『もう一杯だけ飲んで帰ろう』

 

角田光代 河野丈洋『もう一杯だけ飲んで帰ろう』

 (新潮文庫)読了!

          *

・著者の二人は夫婦である。その夫婦がいっしょに 

 行った飲み屋のことをそれぞれ書いているという

 形式がちょっと変わっていておもしろい。

・一軒目が西荻窪「戎」だ。新刊ででたばかり。

 この最初の部分が目に入って即買いしました。

          *

角田光代がどこかで「戎」のポテサラをほめて

 いたのを読んだことがあるが、この本では「戎」

 を絶賛している。章の名前も

愛する戎

 だよ。

酔うほどにみんながしあわせそうに見えてくる

 ふむふむ。

この店で喧嘩をしている人を見たことがない

 ほんとそうだよなあ。この鋭い指摘。

ひとりで飲んでいてもさみしくないのがいい

 これなんだな、わたしが戎好きなのは……

河野丈洋もすばらしい。

店全体に「この酒はうまい」と思わせてくれる

空気が充満している

 それはなにかというと店員が作っている「安心感」

 だと。そうそう、客にはなしかけない。これが

 いいんだよね。