【映画】「PERFECT DAYS」さいたま新都心MOVIX

www.perfectdays-movie.jp・「PERFECT DAYS」。ヴィム・ヴェンダースの映画は

 いつ以来だろうか。永島慎二「ある道化師の一日」

 に似ているのかな、と観る前に思っていた。ピエロ

 の衣装を着けたサンドウィッチマンのたんたんとした

 一日を追った漫画である。ツイッターでもそれを指摘

 しているひとがいた。いくつかのシーンは似ていた。

 もしかしたら隠れた原作かもしれないが……。

          *

・車のなかで好きな音楽をカセットでかけるなんて

 やはりヴィエンダースの映画だと思った。「さすらい」

 のなかで走行中のトレーラーのなかでポータブルの

 レコードをかけているのを思い起こした。ただし、

 有名な曲が流れているのはヴィエンダースらしくないな。

          *

・ヴィエンダースの映画は、好きなものと嫌いのものとが

 はっきりわかれているのだが、この映画は好きなもの

 でした。

 

 

【映画】「エドワード・ヤンの恋愛時代」深谷シネマ

エドワード・ヤンの恋愛時代 4Kレストア版 [DVD]

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・「エドワード・ヤンの恋愛時代」を深谷シネマで

 観る。久しぶりの深谷シネマ。

・見終わって最初の印象は、30年前の映画であるのに

 古さを感じなかったということ。携帯も初期モデル

 だしファッションもちょっとなとは思ったけど。

・人間関係がよくわからないまま進んでいって、やっと

 最後のほうでわかってきた。恋愛映画なのに臭さが

 まったくない。背景に政治のことがあるというところは

 ホウシャオシェンなんかの台湾映画と同じだな。

・弱い男の描き方、感情のぶつかり合いなんかは濱口竜介

 の映画を観ているようだった。

        *

・それにしてもメガネを忘れてしまって、暗いし

 ボケているし、字幕を追うのがやっとという……

 4Kレストア版だというのに情けない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

茨木のり子『言の葉さやげ』

 

茨木のり子『言の葉さやげ』(河出文庫)読了!

・わたしの一番好きな本である。元本の単行本は

 1975年発売だから48年かかって文庫になったと

 いうことか。

・ボーナストラックというか、元本に入っていない

 3編が追加されているということで即購入しました。

          *

茨木のり子のなにが好きかと言ったら、ことばの

 使い方が正確無比なところ。あやふやなところがない。

 それでいてユーモアがある。どちらかというと詩より

 散文というかエッセイのほうが好き。

          *

緑の痰のように美しかった少女

・ちょっとあたまが混乱する。緑の痰って、あたまの

 悪いガキの枕詞だろうにとか思えるのだが。

 

2023年をふりかえるー読書編ー

 

・ことしの読書をふりかえります。

・このあいだ朝起きたらなんか変だった。アタマのなかが

 自分じゃない。なんだこれは、そうだ夢を見ている。

 起きているのに夢を見ている。生まれて初めての経験。

 ネットで検索するとそういうことも実際にあるとのこと。

         *

・『流星ひとつ』沢木耕太郎新潮文庫

 ……全編会話というのがすごい。最近「深夜特急」を

 読み返そうかという気分。

・『文字介のはなし」立川談四楼筑摩書房

・『往復書簡 ひとりになること花をおくるよ』

 植本一子、滝口悠生

 ……吉祥寺 古書防波堤にて購入。

・『熊撃ち』吉村昭ちくま文庫

・『土偶美術館』(平凡社

 ……ことしのベスト本。こんなにも土偶があるのか

 とびっくり。美術館というだけあって写真がどれも

 きれいである。

・『絵にしかできない』諏訪敦+大竹昭子(カタリココ文庫)

・『人間万事嘘ばかり』山田風太郎ちくま文庫

・『死ぬまでに行きたい海』岸本佐和子

 (スイッチパブリッシング)

・『見えない絵本』長谷川集平(理論社

・『酒場学校の日々』金井真紀(ちくま文庫

・『本の読み方』草森紳一河出書房新社

 ……もう10年以上積読でした。

・『塩の道』宮本常一講談社学術文庫

 ……鎖国時代は食料自給率100%。この驚き!

・『阿佐ヶ谷姉妹ののほほんふたり暮らし』(幻冬舎文庫

・『私のことだま漂流記』山田詠美講談社

・『キッドのもと』浅草キッド

 ……ふたりの関係がわかる。

・『もぎりよ今夜も有難う』片桐はいりキネマ旬報社

・『ぼくはぼくでしか生きられない』吉上恭太

 (かもがわ出版

・『師弟』野澤亘伸光文社文庫

・『いい女、ふだんブッ散らかしており』

 阿川佐和子(中公文庫)

・『神も仏もありませぬ』佐野洋子ちくま文庫

・『どくとるマンボウ青春記』北杜夫

 (新潮文庫

 ……読もうと思いながら何十年。

・『なんだか・おかしな・人たち』(文春文庫)

・『大阪不案内』森まゆみちくま文庫

 ……これはもう森さんにしか書けないのでは。

          *

・もちろん山口恵以子の本もたくさん読みました。

・来年もよろしくお願いします(ちょっと早いけど)

 

 

 

2023年をふりかえるー出会ったことば編

・「ジミヘンは長生きしていれば、マイルス・デイビス

 なれたよ」

 ことし1月に亡くなられた音楽評論家・田川律さんのことば。

 うーん、なるほどと思った。ジミヘンも音楽のジャンルを

 越えて常に前衛であったろうに。

          *

・「起こることには全て意味がある」

 (1/20 毎日夕刊 イマジン 藤原章生

 

・「山田詠美とはどんな作家より根っからのモラリスト

 である」

 (群像 202/1月号 清水良典)

 ……山田詠美「私のことだま漂流記」を読んで納得した。

 

・「人が出会うと意外なことが起こる」

 (NHK ヒューマン 52年目のMINAMATA アイリーン・

 美緒子・スミス)

 

・「書くためには読むしかない」

 (3/1 毎日夕刊 上野千鶴子

 

・「死んだら終わる自分の人生を味わえるのは

 自分しかいない」

 (3/2 毎日夕刊 板橋文夫

 

・「一番怖いものは常識」

 (3/14 毎日夕刊 羽生善治

 

・「現実を見る 世の中を見る 自分を見る」

 「生きている以上出来ることがある」

 (3/16 NHKBS1 最後の講義 宮本亜門

 

・「なぜ移動したいのか。移動は心を落ちつかせる」

 「相手を知るには自分を変えるしかない」

 (3/17 イマジン チリの息子と考えた 藤原章生

 

・「思っているだけでは平和は来ない。行動しなさい」

 (3/20 毎日夕刊 悼む沖縄戦元学徒 中山きく)

 

・「長寿だけが ”生命力” でもないはずです」

 (THE BIG ISSUE vol.452 ケアを紡いで 大宮浩一)

 

・「事実をいくら積み上げたところで真実にはならない」

 「組織とか権力、強いものは疑え」

 (NHKBS1 松本清張と日本の黒い霧未解決ミステリー

  横山秀夫

 

・「貧困など社会問題を扱った本は見つけられなかった

  (安倍晋三の蔵書をみて)」

 (5/24 毎日夕刊 今日も惑いて日が暮れる 吉井理記)

 

・「人はみんな話したいことを持っている。それを聞く

 ようにしなければいけない」

 (塩の道 宮本常一

 

・「迷ったら、やったことのない方を選ぶ」

 (5/30 毎日夕刊 あした元気になあれ 小国綾子)

 

・「万の偽りも一つの真実に敗れ去る」

 (6/8 毎日夕刊 中村哲

 

・「現代社会では戦争を選択したらもう負けなのだ」

 (毎日朝刊 オピニオン論点 8月のジャーナリズム

 の今後 保坂正康)

 

・「誰もがバカと言われるのを恐れている雰囲気がある」 

 (7/30 毎日朝刊 賢人と奴隷とバカ 酒井隆史

 

・「気温より低くなってきた内閣支持率

 (7/30 毎日朝刊 ちょっと違和感 松尾貴史

 

・「無縁遺骨や無縁墓も問題ですが、一番の問題点は

 生きながらにして無縁化しているような人がたくさん

 いることです)

 (8//1 毎日夕刊 無縁化社会の処方箋 小谷みどり)

 

・「人間には人間を殺す権利はない」

 (8/20 毎日朝刊 24色のペン 小田実

 

・「学ぶべきは長所から学ばなくてはいけない」

 (NHKEテレ 100分で名著 覇王の家 安部龍太郎

 

・3mの距離まで近づいたら目を合わせほほ笑みかける

 こと、1.5m居ないにちかづいたらこんにちわと

 いうこと」

 (9/10 毎日朝刊 新・心のサプリ 海原純子

 

・「SNSのいいねはどうでもいいねのいいねだからね」

 (9/30 毎日夕刊 スポーツいま会いたい 石川直樹

 

・「世の中は必ず変わる」

 (10/20 これだけは言いたい 山崎拓

 

・「本には読む時間の前に、選ぶ時間がある」

 (金曜日の本 吉田篤弘

 

・「みんなと同じことをやると競争になってしまう」

 (THE BIG ISSUE vol.467 奈良美智

 

・「写真は時を超えて、過去を現在にしてくれる」

 (12/17 毎日朝刊 迫る 佐野史郎

 

・「古典というものは、当時の前衛だったもの。前衛だけが

 古典として残るのよ。前衛であるものは何か伝えたいもの

 をたくさん持っているんです」

 (12/17 毎日朝刊 私の記念碑 馬場あき子)

 

・「間違っているかもしれないという不安を抱えながら、

 それでも私はこう思うと口にすることで、自分が変わって

 いく可能性に初めて踏み出せる」

 (12/17 毎日朝刊 文化の森 朱喜哲)

         *

・結局、動け!というメッセージが多い。

 自分が動いていない現れですね(笑)

 

『なんだか・おかしな・人たち』文藝春秋編(文春文庫)

 

深谷の須方書店にて帳場の前に積ん出あって一番上に

 乗っていたのこの文庫。チラッと目次をみたら

 土田玄太(田中小実昌)が見えた。オッ!なんだ、

 土田玄太って、で購入。100円でした。

・土田玄太は本名なのかな。文章の注意書きを読むと

 田中小実昌の最初のエッセイのようだ。

 題は「やくざアルバイト」

・買ってからまた目次を見直したら、山之口獏

 飛び込んできた。ラッキー!。金子光晴草野心平

 との対談。題は「貧乏三詩人大座談会」

           *

・奇談、珍談を集めたアンソロジーです。1989年発行で、

 はなしの内容は主に貧乏話、酒の失敗談、悪い女癖と

 いったところでしょうか。時代は戦前から戦後すぐぐらい

 のこと。混乱の時代だからということもあるでしょうが、

 それにしてもまだ社会が相当ゆるかった。

・また、ひと付き合いの濃さがいまとは全然ちがう。たとえば、

 中村光夫は「とんでもない厭な人」といいながら「はなしを

 聴くのが楽しみだった」と書いている。石川啄木荷風

 ことをけちょんけちょんに言っていたようだ。題名は「狂気

 の文学者・永井荷風」この本の全体を通していえることだが、

 どんな奇人変人であっても当時のひとは見捨てないというのが

 現代とは違う。

          *

・将棋の名人木村義雄が将棋のことではなく、釣りの佐藤垢石の

 ことを書いている。「愛すべきドロ亀・垢石一代記」

山本嘉次郎「カツドウ屋奇人伝」もすさまじい。

渋沢秀雄「渋沢一族」は、大河ドラマにもでてきた渋沢栄一

 女好きも具体的に孫が語っている。渋沢秀雄のエッセイは

 読みたくなったなあ。

阿佐田哲也「一刀斎の麻雀」で五味康祐のことを書いている。

 五味康祐サンケイビルのエレベーターでいっしょになった

 ことがあるなあ。その1か月後ぐらいで亡くなってしまったが。

・福島慶子「うちの宿六」ではもちろんダンナのことを細かく

 書いている。この文章を読んだダンナのことを「うちの宿六(続)」

 としてあがっているのはおもしろい。

・徳川無声が「獅子文六行状記」を書いているが、その無声の

 大酒飲みのことを山本嘉次郎「無声”アル中人生”の泣き笑い」

 としている。

荻窪駅から反対の方向に乗ったらしく、なんでも八王子か浅川

あたりまで持ってかれて、それから引き直して、今度は東京駅

まで持ってかれて、それから歩いて自宅まで帰ったらしい

 というのは内田百閒、宮城道雄と徳川無声の家で飲んだ

 獅子文六の行状である。わたしの経験と似ている。

       *

・この本のなかで一番こわかったのが東郷青児「ヘソのない女」

 である。ほんとにヘソのない女がいたらしい。

     *

・この文春文庫のアンソロジーシリーズに「孤高の鬼たちー

 素顔の作家」というのがあるそうで、このなかで山之口

 静江「貧乏詩人の妻といわれて」というのが入っている。

 これは是非とも探して読まなければならない。

 

 

 

 

永島慎二雑記103「ARE 8号」

永島慎二雑記とは、大好きな永島先生のことをちょこっと書いていました。

 このブログをはじめたころだから2006年から35話まで不定期で書いて

 いまして、それ以降時間があいてしまったので101話から改めました。

 といっても1年に1回ぐらいしか書いていないですが……。

・わたしが所持している雑誌のインタビュー記事を中心に再開しよう

 かと思っています。

         *

・「ARE」という雑誌は画家の林哲夫さんが編集されていて、わたしは

 この8号しか持っていないのでよくわかりませんが、後に「SUMUS

 につながっていくようです。

・「ARE 8号」(1997年6月発行)は、漫画が特集で「SUMUS」の

 同人である岡崎武志さんが永島慎二にインタビューしています。

         *

そういう意味じゃいまの子どものユーモアの質は低い。それは

結局心の問題なんですよ。心が豊かなときの笑いと貧しいときの

笑いとは違うんですよ。

・インタビューの入りは永島先生の好きな将棋の話題から入って

 阿佐ヶ谷会のメンバーである井伏鱒二木山捷平から漫画の

 土台であるユーモアについて入っていく。このあたりの

 流れをつくっていく岡崎さんの誘導がうまい。

         *

・新作 永島慎二版『銀河鉄道の夜』のはなしで、岡崎さんが

 宮沢賢治永島慎二は妹さんが作品に対して良き理解者で

 あったという共通点を指摘している。これは重なっていた、

 と永島先生の発言を引き出しているのは鋭い。

         *

仕事の絵は、今日描ける絵を否定して、描けない絵を描こう

とすることなんですよ。そこに何があるというと戦いが

あるわけですよ。

・このあたりはオールカラー描き下ろしで描かれた

 『銀河鉄道の夜』への意気込みというか、漫画に対する

 情熱がすごい。

         *

トキワ荘やテレビドラマ『黄色い涙』のはなしも興味深い。