・ジャケ買いというのはしたことがあるが、タイトル買いは
あまりない。『忍ばずの女』高峰秀子(中公文庫)。
- 作者: 高峰 秀子
- 出版社/メーカー: 中央公論新社
- 発売日: 2012/05/23
- メディア: 文庫
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・高峰秀子の本は、いくつか読んでいるので面白さは知っている。
この本は前半が演技論などで、後半が「忍ばずの女」の脚本が
載っている。脚本を書いていたとは知らなかった。
・あとがきで養女の斉藤明美がこんなことを書いている。
高峰が書いた文章は、読む人を励まし、必ず生きる力を与える
と、確かにそうなんだよね。わたしがこの本のなかで一番
印象深かったのは、
人間は、それぞれ胸の奥にどれほどの思いがあろうと、傷が
あろうと、見かけだけは肩を寄せ合い、カッコつけて生きて
いかなければならない哀しい動物なのだ、ということを、
私は知った。
・これは、「忍ばずの女」のモデルになった石井ふく子の
おとうさんとおかあさんのことを言っているのだが、
それは5歳の時から、養父母と親類縁者を養うために
働いてきた高峰秀子の生き方にも当てはまっているよう
に思う。
*
・きのう、人形町でランチを食べたのだが、その定食屋に
明治座の公演ポスターが貼ってあって、「演出 石井ふく子」と
なっていた。調べたら86歳か。すごいなあ、おやじと同い年だ。
*
・この本を見つけるずっと前に妄想をしていたことがある。
不忍には魅力的な女性がたくさんいるから、モデルになって
N氏が短編でもいいから小説にしてくれないかなと。
題名は「忍ばずの女」ならぬ、もちろん「不忍の女」。