・先日、酒場放浪記を観ていたら飲み屋の店主が「過去を
振り返らないで、いつも前を向いている」というような
はなしをしていた。60歳から飲み屋を始めたそうで、もう
80歳になる。こういうひとが結構いるんだよね。
・わたしはダメ。いつもむかしのことを思い出しては、
「あー、あの時あーすればよかった」って、ため息ついて
いる。ということでことしを振り返ります。
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・6月に印刷会社を辞めて、二足の草鞋を解消してひとつに
しぼりました。きちんと働き始めたのは10月になって
しまったが、そのあいだいままでできなかったことが
できたのはよかった。失業保険もおりたし。
・その印刷会社では校正や印刷物の制作進行をしていたのだが、
大きな仕事が納品できたのでそこが辞めるタイミングだった。
・4月に昇給してもらって時給1000円になる。おもしろいのは、
1980年に日刊工業新聞の校閲部でのバイト代が時給1000円!。
校正の仕事を始めたときと終わったときのバイト代が同じ。
35年も経っているのに。まあ、日刊工業新聞のときは、破格
ではあった。時給500円のバイトもあった時代。
・35年間日本経済がそれだけ低迷している証しでもある。
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・当時は文章をすらすら書けたな。いまはほんとダメ。校正力も
落ちたな。まあ、それが校正から足を洗う原因ではあるのだが。
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・10月に東浦和から熊谷に引っ越した。県北に引っ越すのははじめて。
3か月たってすこしは慣れてきた。
・すぐ前が荒川の土手。川幅がひろく、遠くまで見渡せる。山を
眺めるのが好きなわたしとしては満足。関東の主な山はほとんど
見えるのではないか。目立つのは浅間と日光男体山。もちろん
富士。奥秩父、西上州、榛名、赤城、日光。その間に谷川や
尾瀬方面、上越国境の山々も見えるのだ。
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・さて、今年読んだ主な本を並べます。
「枕もとに靴」北大路公子(新潮文庫)
「頭の中身が漏れ出る日々」北大路公子(PHP文芸文庫)
「きのうの雫」平田俊子(平凡社)
「大衆食堂パラダイス」遠藤哲夫(ちくま文庫)
「にんげん住所録」高峰秀子(文春文庫)
「忠臣蔵とは何か」丸谷才一(講談社文芸文庫)
「ヒーローを待っていても世界は変わらない」湯浅誠(朝日新聞出版)
「夢酔独言」勝小吉(教育出版)
「言葉をください」時実新子(文春文庫)
「戦後史入門」成田龍一(河出文庫)
「珈琲とエクレアと詩人」橋口幸子(港の人)
「UKADAN DELUXE」(白夜書房)
「新しい風土記へ」鶴見俊輔(朝日新書)
「ぼくらの民主主義なんだぜ」高橋源一郎(朝日新書)
「開戦前夜」児島襄(文春文庫)
「清冽 詩人茨木のり子の肖像」後藤正治(中公文庫)
「ときには積ん読の日々」吉上恭太(トマソン社)
「マイルスの夏、1969」中山康樹(扶桑社新書)
・まあ、この他には植村直己「青春を山に賭けて」と太田蘭三
「殺意の三面渓谷」を再読しました。
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・やまがら文庫としての活動は、2月神楽坂TEMAMEでの小さな古本市
と5月の川口一箱古本市への参加ぐらいか。
・不忍ブックストリートとしては、一箱古本市が5月に一日開催に
なって、いろいろな面で変わったことがあった。ことし目立った
のは新しい有力な店主が参加してくれたこと。ニューウエーブが
来てるね。
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・というような一年でした。環境は大きく変わりましたが、自分が
まったく変わっていない。というか心身の衰えが謙虚になってきた。
・どうなることやら。来年もよろしくお願いいたします。