2015を振り返る

・先日、酒場放浪記を観ていたら飲み屋の店主が「過去を
 振り返らないで、いつも前を向いている」というような
 はなしをしていた。60歳から飲み屋を始めたそうで、もう
 80歳になる。こういうひとが結構いるんだよね。
・わたしはダメ。いつもむかしのことを思い出しては、
 「あー、あの時あーすればよかった」って、ため息ついて
 いる。ということでことしを振り返ります。
         
・6月に印刷会社を辞めて、二足の草鞋を解消してひとつに
 しぼりました。きちんと働き始めたのは10月になって
 しまったが、そのあいだいままでできなかったことが
 できたのはよかった。失業保険もおりたし。
・その印刷会社では校正や印刷物の制作進行をしていたのだが、
 大きな仕事が納品できたのでそこが辞めるタイミングだった。
・4月に昇給してもらって時給1000円になる。おもしろいのは、
 1980年に日刊工業新聞校閲部でのバイト代が時給1000円!。
 校正の仕事を始めたときと終わったときのバイト代が同じ。
 35年も経っているのに。まあ、日刊工業新聞のときは、破格
 ではあった。時給500円のバイトもあった時代。
・35年間日本経済がそれだけ低迷している証しでもある。
         
・当時は文章をすらすら書けたな。いまはほんとダメ。校正力も
 落ちたな。まあ、それが校正から足を洗う原因ではあるのだが。
         
・10月に東浦和から熊谷に引っ越した。県北に引っ越すのははじめて。
 3か月たってすこしは慣れてきた。
・すぐ前が荒川の土手。川幅がひろく、遠くまで見渡せる。山を
 眺めるのが好きなわたしとしては満足。関東の主な山はほとんど
 見えるのではないか。目立つのは浅間と日光男体山。もちろん
 富士。奥秩父、西上州、榛名、赤城、日光。その間に谷川や
 尾瀬方面、上越国境の山々も見えるのだ。
         
・さて、今年読んだ主な本を並べます。

「枕もとに靴」北大路公子(新潮文庫
「頭の中身が漏れ出る日々」北大路公子(PHP文芸文庫)
「きのうの雫」平田俊子平凡社
「大衆食堂パラダイス」遠藤哲夫ちくま文庫
「にんげん住所録」高峰秀子(文春文庫)
忠臣蔵とは何か」丸谷才一講談社文芸文庫
「ヒーローを待っていても世界は変わらない」湯浅誠朝日新聞出版)
「夢酔独言」勝小吉(教育出版)
「言葉をください」時実新子(文春文庫)
「戦後史入門」成田龍一河出文庫
「珈琲とエクレアと詩人」橋口幸子(港の人)
「UKADAN DELUXE」(白夜書房
「新しい風土記へ」鶴見俊輔朝日新書
「ぼくらの民主主義なんだぜ」高橋源一郎朝日新書
「開戦前夜」児島襄(文春文庫)
「清冽 詩人茨木のり子の肖像」後藤正治(中公文庫)
「ときには積ん読の日々」吉上恭太(トマソン社)
「マイルスの夏、1969」中山康樹扶桑社新書

・まあ、この他には植村直己「青春を山に賭けて」と太田蘭三
 「殺意の三面渓谷」を再読しました。
         
・やまがら文庫としての活動は、2月神楽坂TEMAMEでの小さな古本市
 と5月の川口一箱古本市への参加ぐらいか。
不忍ブックストリートとしては、一箱古本市が5月に一日開催に
 なって、いろいろな面で変わったことがあった。ことし目立った
 のは新しい有力な店主が参加してくれたこと。ニューウエーブが
 来てるね。
         
・というような一年でした。環境は大きく変わりましたが、自分が
 まったく変わっていない。というか心身の衰えが謙虚になってきた。
・どうなることやら。来年もよろしくお願いいたします。