鴻上尚史 『「空気」と「世間」』

・ちょっと時間ができたのでいつもは素通りしている本屋を
 ぐるっと廻ってみた。改札口を出て本屋のなかを通って駅の外に
 でる。最近お決まりのようなカフェが併設されている。
動線が悪いなと思っていた。人の流れをみると改札口から
 雑誌のコーナーと平台の間を通って、レジカウンターの前を横切る。
 これでは本を買う人と交差してしまう。
・棚は、新刊コーナー、女性向けのガーリーコーナー、旅の本、
 それに丸善松丸本舗をマネしたような一角。雑貨といっしょに
 本が並べられている。どんな本が並んでいたか印象が薄い。それに
 胸やけしそうなくらいビジネス自己啓発本がドーン!。
 「一流の成功の法則」なんて仕切り板もある。
・文庫が少々、新書や文芸の棚が見当たらない。まして人文はどこに
 あるのだ。雑誌はファッションやインテリアの洋書がバーン!と
 目につく。いやあ、くちあんぐりな本屋でした。
          
鴻上尚史 『「空気」と「世間」』(講談社現代新書)を読了。
 『孤独と不安のレッスン』が自分の内側のことであるなら、こちらは
 外側、つまり他人とのコミュニケーションのはなし。

「空気」と「世間」 (講談社現代新書)

「空気」と「世間」 (講談社現代新書)

日本人は「世間」の保証がないまま、知らない相手とコミュニケイション
を取る、ということがひどく不得手なのです。

・そうそう先日の懇親会があったときなんか、顔みしりとしかはなししない
 という状況だった。まさに不得手。そのジャンルでは著名な方なんか
 いたのにはなしかけられなかった。

なにかのきっかけで相手と会話が始まり、相手が自分と同じ「世間」に属して
いると思えば、日本人は急に態度を変えるのです。

・いろいろな例をだして「世間」とはなにかが導きだされていて、あれも
 これも自分に当てはまってしまう。「世間」からでたところが社会だそうです。
鴻上尚史のこの二冊で不安のメカニズムを解き明かしてくれたように思う。