後をひく関係

野坂昭如「文壇」(文藝春秋では、野坂の流行作家に対する
コンプレックスが描かれている。嫉妬かもしれない。
テレビで拝見する風貌とは違う内面を持っている。
それを隠すために酒を飲んでいるのかな。
「わたしは何も持っていない」というのが
わたしのコンプレックスである。いままで長く生きてきて
極めたものがない。どれもこれも中途半端。だから
大成した人を前にするとことばがでない。聞きたいことが
いっぱいあるのに会話がちぐはぐ。南陀楼綾繁の、
「ナンダロウアヤシゲな日々」(無明舎出版
のなかで
いっているような「後をひく関係」にはならない。
「後をひく関係」というのは取材した側なのに取材される側に
なってごちゃごちゃしていく……というようなこと。
続いていく人間関係。
わたしにはそういう関係がなかなか築けない。
じぶんの後ろに控えているものが薄いんだろうな。
しゃべることばが軽いのかもしれない。