山際淳司『みんな山が大好きだった』(中公文庫)

 

・再読である。古い日記をみると1997年1月12日に読み終わって

 いる。この文庫は1995年7月に発行になっているのに、なんで

 1年半も経ってから読んだのであろう。この手の本は文庫が

 でればすぐに読んでいたであろうに。

・この日記を読むと山際の文章をべた褒めしている。まあ、当時の

 自分にすごくあっていたのだということはわかる。考えている

 ことを代弁してもらったような。

・今回再読をして思ったのは、ひとつ前の時代だなと。山に挑戦

 するということがなくなってしまった。新聞に取り上げられるのは

 国内での遭難記事ばかり。初登頂なんてニュースは全く聞かれなく

 なった。それと山に登るのは男の孤独だ、というような。そういうこと

 を女は理解してくれないとか、家庭をかえりみずヒマラヤに

 でかけるとか。それが男に生きる道である、というようなことは

 薄くなってしまった。そういうことが嫌いなわけでもないのだが。

・読んでてなるほどと思う文章を書きだします。

現実維持を旨とし、動き出そうとしない人間は常に現実に拘束

されている。そこからもう一つの世界に向けて旅立とうとする

とき、初めて自由が手に入る。

・いまの自分にぴったりじゃないか。なんかひとつでも壁や殻を

 破って進みたいものである。